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    防音性の高いマンションとは?防音の知識と物件選びのポイントを解説

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マンション選びをするうえで重要なのが防音性能です。隣室の生活音や外の騒音に悩まされない快適な生活を送るためには、建物構造や素材、遮音等級の知識が欠かせません。この記事では、防音性能の基礎知識から物件選びのポイント、入居後にできる工夫まで分かりやすく解説します。

マンションにおける防音性能とは?

マンションの防音性能は、主に遮音等級という壁・床・窓などから伝わる音をどれだけ遮断できるかで示されます。

そもそも「防音」とは、室内に音が入ることや、室外に音が漏れるのを防ぐことです。ただし、防音に明確な定義はなく、「遮音」「吸音」「防振」「制振」を組み合わせた総合的な音対策を意味します。

防音を理解するためには、まず、その構成要素について知り、整理することが大切です。以下の一覧表で、それぞれの意味と効果を正しく理解しましょう。

比較項目 意味 効果
遮音 音を遮り伝わりにくくすること 壁や床などで音を反射・遮断し、隣室や外部に届きにくくする
吸音 音を吸収し反響や残響を抑えること 吸音材やカーテンなどで音を取り込み、室内の響きを減らす
防振 振動の発生や伝達を抑えて、音や揺れを減らすこと 壁や床にクッション性の高い材質や空間を設けることで、上下階や隣室へ伝わる振動音を減らす
制振 物体自体で発生した振動を吸収したり、分散させたりして、揺れの大きさを小さくすること 制振材を用いて物体自体の振動の発生や伝達を抑え、その振動によって生じる音も減らす

上記の表から、「遮音」「吸音」「防振」「制振」のいずれも、隣室や階下への音漏れや振動を防ぐことに重要な役割を果たしています。そのため、マンションの防音を考える際には、この4つの要素が欠かせません。

マンションの防音性能は実際どのくらい?

マンションの防音は、「D値(壁の遮音性能)」「L値(床の遮音性能)」「T値(窓やサッシの遮音性能)」といった指標で評価されます。これらの指標は、遮音等級と呼ばれる数値で表され、その数値の大小で遮音性能を示します。

ただし、遮音等級の数値はあくまで目安です。一定の生活音は聞こえる可能性があるため、内見で実際の音環境を確認するよう心がけましょう。

防音に明確な規定はある?

建築基準法では、界壁(隣接する住戸間の壁・床)の厚さや構造からなる共同住宅の遮音性能において、一定の基準が設けられています。また、「D値」「L値」「T値」という指標にもとづいて設定される遮音等級は、生活音や外部の騒音がどの程度聞こえるか数値化したものです。それぞれの指標や数値について、以下の一覧表をもとに解説していきます。

項目 詳細 数値の特徴
D値/空気音遮断性能 壁などを通じて伝わる空気音の遮音性能
dB(デシベル)で表される
数値が大きいほど遮音性能が高い
L値/床衝撃音遮断性能 床を通じて伝わる衝撃音の遮音性能 数値が小さいほど遮音性能が高い
T値/開口部遮音性能 窓やサッシなど開口部の遮音性能 数値が大きいほど遮音性能が高い

なかでも、空気音遮音性能を表すD値は、多くの防音マンションでの指標となっています。たとえば、D-55=約55dBの空気音遮音性能であると、通常では人の話し声が聞こえない程度となります。ピアノなどの楽器を演奏する場合は、通常よりも高いD-60~65レベルの遮音性能が必要です。つまり、壁の遮音等級は、どのような音を防ぎたいかによって適正値が変化するといえるでしょう。

以下の一覧にD値の目安を記載したので、参考にしてみてください。

遮音等級(D値) 楽器・ステレオなどの大きな音 テレビ・会話などの一般的な音
D-65 通常は聞こえない 聞こえない
D-60 ほぼ聞こえない 聞こえない
D-55 かすかに聞こえる 通常は聞こえない
D-50 小さく聞こえる ほぼ聞こえない
D-45 けっこう聞こえる かすかに聞こえる
D-40 曲がはっきりと分かる 小さく聞こえる

防音性能の高さを特徴としている物件や住戸では、D値などの数値が明示されているケースも多く見られます。その場合は、こうした数値を参考にすることも1つの方法です。一方で、数値の記載がない場合は、防音性能は一般的な水準と考え、この後紹介する、防音性能に影響を与える要素を参考に判断してみるとよいでしょう。

防音されているマンションでも実際はうるさい?

規定上の防音性能が確保されているマンションでも、生活音は完全に消えるわけではありません。たとえば、以下のような要因で音が気になることもあります。

  • 建物構造の影響:配管や扉回りの隙間を通じて音が伝わることがある
  • 床衝撃音の影響:上階の足音や物を落とした音が響きやすい
  • 窓からの外部騒音:サッシの遮音性能が低いと外部の交通音が入りやすい
  • 生活習慣の違い:楽器演奏や子どもの走り回る音など、生活音が気になることがある

防音性能は、「数値」だけでなく「実際の生活環境」によって体感が変わります。また、音の感じ方には個人差があるため、一概に静か・うるさいとはいえません。そのため、騒音トラブルを避けるためには、数値を確認するだけでなく、内見時に音環境を確かめましょう。

三井不動産レジデンシャルリースでは、楽器の演奏や映画鑑賞、在宅ワークに適したD-65以上の遮音性能の防音室を備えた物件を取り扱っています。趣味も仕事も快適さを求める方は、ぜひ以下の物件情報をご覧ください。

マンションの防音性能に影響を与える要素

マンションの防音性能には、建物構造、壁材、床材、窓・サッシなど、複数の要素が影響を与えます。築年数や施工方法によっても差が生じますが、これらの要素は入居後に変えられないため、しっかり理解してお部屋選びをすることが大切です。

マンションの防音性能に影響を与える要素

建物構造

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)や鉄筋コンクリート造(RC造)は、遮音性が高い傾向があります。一般的に木造の遮音性能は低く、鉄骨造(S造)の場合は、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造などと比較すると劣る場合が多いでしょう。また、低層マンションでよく見られる柱や梁を使わない壁式鉄筋コンクリート造(WRC造)は、壁が厚く、遮音性に優れています。

壁材

隣室との間に設置されている壁は、厚みがあるほど防音性能が高い傾向があります。さらに、壁材や工法も影響を与えており、コンクリート壁は遮音性が高く、隣室の生活音を遮りやすい構造です。一方、石膏ボード単体の遮音性は低めですが、複層構造や防音材の併用により性能が向上する場合があります。

また、厚みのある仕上げ材等を施工して厚みを持たせる「ふかし壁工法」は防音性が高めです。対して、コンクリート壁に直接接着剤で仕上げ材を貼る「GL工法」は、音の振動が伝わりやすく防音性は低いといわれています。

床材

下の階に接する床についても、厚みがあるほど防音性能が高い傾向がありますが、床の構造や工法によっても異なります。マンションの床構造には、コンクリートに直接フローリング材を貼る「直床構造」と、コンクリートの上に防振ゴムや床を支える支持脚と呼ばれる下地を置いてからフローリング材を貼る「二重床構造」があります。

直床は、クッション材付きのフローリング材を施工するのが一般的で、足音などの衝撃音は比較的抑えやすいとされています。一方、二重床構造は、床下に空間があるため椅子を引いたり、軽いものが落ちたりしたときの振動音が伝わりにくいとされています。

実生活で気になる音の多くは、足音などの重量床衝撃音のため、床の素材や構造については、不動産管理会社や大家さんに事前に聞いてみましょう。

窓・サッシ

一般的な単層ガラスは、外部騒音を遮断しにくい傾向があります。2枚のガラスを組み合わせた複層ガラスは、主に断熱を目的とした仕様であり、防音性能は限定的です。防音性を重視する場合は、特殊な中間膜を挟んだ「防音合わせガラス」や、厚さの異なる2枚のガラスを組み合わせた「異厚複層ガラス」など、防音仕様の複層ガラスを選ぶ必要があります。

一方で、窓の防音性はガラスの種類だけで決まるものではありません。サッシの気密性や施工の状態も大きく影響します。既存の窓の内側にもう1つ窓を設置する「二重サッシ(内窓)」は、窓と窓の間に空気層を設けることで、防音性能の向上が期待できるでしょう。物件によっては、複層ガラスと二重サッシを組み合わせているケースもあります。

なお、サッシの可動部や接合部の隙間が少ないほど気密性が高まり、それに伴い防音効果も向上します。快適な暮らしを目指すためにも、壁や床に比べて見落としがちな、窓・サッシの構造についても把握しておきましょう。

防音性の高いマンションを見分けるには?

防音性の高いマンションを見分けるには、建物構造や壁の厚さを確認することが重要です。さらに、間取りや階数によっても音の伝わり方は変わります。そのため、内見時に周囲の音を注意深く聞いたり、大きな音で音楽を流したりして、実際の音環境を体感することが有効です。

防音設備の整ったマンション

間取りから見分ける

防音性の高低には、間取りも関係しており、部屋の配置によって音の伝わり方が変わります。ここでいう音とは、上下階や隣戸からの音ではなく、同じ住戸内で一緒に生活する家族や同居人の部屋との間の生活音のことです。生活音は、隣室との接触面が少ない間取りにおいては音が伝わりにくいという特徴があります。たとえば、水回りが隣室と接していない配置だと、同じ住戸内で一緒に生活する家族や同居人の生活音に対するストレスを軽減できます。また、クローゼットや物入れが壁を隔てて背中合わせになっていると、居室同士が直接接することがありません。音の伝わりを抑え、より快適に過ごせるでしょう。

階数から見分ける

部屋の階数も防音性の高さを決める要因の1つです。最上階は、上階の住人の足音や生活音を気にする必要がありません。対して、中層階は上下からの音を受けやすい傾向があります。また、建物の立地や周辺環境にもよりますが、低層階は外部騒音の影響を受けやすい場合があります。

内見で見分ける

防音性を重視したマンション探しでは、内見時に音環境を確認することが欠かせません。隣室や上下階の生活音や外部の音環境を実際に体感するためには、昼・夜それぞれの時間帯で内見することが望ましいでしょう。

不動産会社の担当者から紹介される物件情報も参考にしながら、実際に周囲の音を注意深く聞いたり、大きい音で音楽を流したりして納得いくまで確認しましょう。

とはいえ、どれだけ事前に確認しても、入居者の入れ替わりや周辺環境の変化によって音が気になるケースもあるので、ある程度の生活音は許容する姿勢を持つことも大切です。

よくある質問

防音対策のしやすさは物件によって異なりますが、事前の確認と入居後の工夫で暮らしやすさは大きく変わります。ここでは、マンションの防音に関するよくある質問について見ていきましょう。

マンションの防音に関するよくある質問
「楽器相談可」物件とは?
「楽器相談可」の物件とは、楽器演奏を前提に防音性能が強化されている物件のことです。ただし、演奏可能な時間や楽器の種類に制限が設けられていることや、物件によっては専用の防音室が設けられていることもあります。認識の違いによるトラブルを防ぐためにも、契約前に条件をしっかりと確認することが重要です。
防音工事やリフォームはできる?
賃貸マンションでは、原則として防音工事やリフォームは不可であり、壁や床に直接防音材を施工することはできません。入居後に行える対策は、建物を傷つけない簡易的なものに限られます。
そのため、防音性を重視する場合は、入居前に物件の防音性能や管理規約をよく確認しておくことが重要です。パンフレットや重要事項説明書に記載がない場合は、不動産管理会社や大家さんに問い合わせて確認しましょう。対策を検討する際も、事前に可否を相談しておくと安心です。
マンション入居後の防音対策はある?
持ち家や分譲マンションなら、防音リフォームやカーテンなどを設置することがおすすめです。一方、賃貸マンションでも工事を伴わない対策は可能です。たとえば、床に厚手のラグや防音マットを敷く、布張りソファなど吸音性のある家具を取り入れる、大きな家具を壁際に配置して音の伝わりを和らげるといった工夫が挙げられます。

まとめ

マンションの防音性能は、建物構造や素材、間取りなどさまざまな要素で決まります。なお、近年「防音マンション」と呼ばれる、防音性能を重視した設計の物件も増えており、楽器演奏や動画配信、映画鑑賞を楽しみたい人や静かな生活を希望する人におすすめです。そのほかにも、在宅ワークをする人や子育て世帯にとっても大きなメリットがあるでしょう。

三井不動産レジデンシャルリースでは、防音性能の高い物件を多数取りそろえているので、お気軽にお問い合わせください。

矢野 翔一
監修者
矢野 翔一
2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。
不動産賃貸業、学習塾経営に携わりながら自身の経験・知識を活かし金融関係、不動産全般(不動産売買・不動産投資)などの記事執筆や監修に携わる。